アブない通販
Corporate Ethics

今年の弊社の新人歓迎会では、新人によるパラパラダンスが披露された。
どうせパラパラを踊るなら、と言うことで、コスチュームは長州小力。

…勘の良い方はお気づきだろうが、今春から中途入社した私も踊る羽目に。
もともと、最初は「ジャパネットたかたのダンスを踊ろう!」だったのが、
いつの間にやらパラパラになってしまった。
オチは「新入社員をお買い上げ」というシナリオまで用意していたのに…

そんな新人歓迎歌のネタ元にもなる深夜の醍醐味、通販番組。
地方では深夜どころか昼間に通販番組が流れており、
あのテレビ東京も朝からジャパネットたかたを流している。
ラジオに至っては、ラジオショッピングという名前になっている。


なぜここまで通販番組全盛になったのか。
実は、通販番組は流すだけで局にお金が入ってくる仕組みがある。

企業がテレビ広告を減らす一方、
デジタル放送で費用負担が増える放送局にとってこれほどおいしい話はない。
その仕組みは、通販会社が“放送枠”を買い取るというもの。

これにより放送されるのは、局側が作った物ではなく
通販会社が自社製作した(通販会社による外部発注も含む)番組が放送される。

ジャパネットたかたがテレショップで成長したことからも分かるように、
放送枠を買い取る以上の収益が通販番組にはあるので、
いまや各局こぞって通販番組を放送しているというのが現状だ。


ちなみに、ラジオでもテレビであっても“放送枠”は誰でも買うことができる。
手続きは煩雑だが、最低でも数十万円からというのが一般的な相場で、
その気になれば自分の番組を電波に乗せることも可能なのだ。
当然ながら、なんでも放送していいわけではなく、
各局が定めた放送基準に合った内容でなければ放送してもらえない。
(放送基準は、各局のHPなどで閲覧可能)

この基準に照らし合わせる作業を“考査”と呼んでいる。

考査担当者は、医薬品でないのに「病気に効く!」と謳っていないか、
路上駐車など法令違反になるようなシーンがないかなど、細かくチェックする。
しかし、放送基準は各局で微妙に異なっており、
何がOKで、何がアウトなのか、厳密な基準が無いのが現状。
過去には消費者金融のCMが、
A局は放送NGだがB局はOKと判断がバラついたこともあった。

つまり、考査基準が緩い局と・厳しい局が混在している。
考査が緩いとどうなるか。


2001年に地方局を中心に放送された、
某タレント(癌で亡くなっちゃったけど)が司会の「二重マル健康テレビ」。
「生活習慣病予防として大麦若葉が効果的」と放送されたが、
放送直後に薬事法違反の疑いがあると指摘された。
放送局が法に抵触するおそれのある番組を放送してしまったのだ。


放送局側のお粗末な顛末も憂きことではあるが、
持ち込み番組(=通販番組)が増える中、
放送倫理を熟知しないまま増え続ける通販番組も
憂きことのひとつだと思う。


考査担当者によると、
考査は、視聴者に対して正しい内容を提供する為にあるだけでなく、
ひいてはスポンサーを守り、社のイメージを保つことが根幹にあるのだそうだ。

「放送倫理」や「コンプライアンス」が叫ばれているなか現状は、
この言葉が、まだお題目程度でしかないのかもしれない。
“表現の自由”は憲法でも保障されてはいるが、
それは“皆の為になるため”の自由であることを忘れてはいけない。

(2007/09/20)


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