テレビマンになりたくて
AD is "A"ntano "D"orei.

意外なのか当然なのか、この商売のことをよく知っている人は少ない。
ましてやカタカナが多いこの世界、たしかにわかりにくくはある。
私の職業"アシスタント・ディレクター(通称:AD)"という職業でさえ、
「ADってどんなことするんですか?」とよく聞かれる。
映画の世界では、"助監督"と呼ばれる職業であり、
成長すれば(?)、"ディレクター(演出)"に昇格できる。
 つまり、"ディレクター"になるための修行期間
と思ってくれればいいわけで。

・・・ただ、アシストする範囲がかなり広い。
バラエティ番組でチラッと出てくるような、
あのようなコキ使われ方をされるのも、ごく普通なことである。
いわゆる、雑用全般を受け持つ役目であり、
業界ヒエラルキーの最下層に位置する役目
である。

だから、ロケ弁当の発注もするし、
宿泊所の手配もするし、
取材先との簡単な交渉もする。
酒の席では盛り上げたりもする

男性ADは、自分の女性遍歴を笑いのネタにされ、
女性ADは程度の差はあれセクハラの洗礼を受ける。
 ・・・と、まぁこれだけ劣悪な環境でありながら、
やはりテレビが好きな者が生き残って行くわけで。
そして、その生き残りが、ディレクターであったりするわけで。

報道の世界は、そこまで酷くはないにせよ、ハードな職場には変わりない。
故に、他の番組ADさんと同様に、常に走り回っている。
本番前になると、もっと走る。
走らないと怒られるし、何より放送に間に合わないからだ。
そして、そう言うときに限ってミスは起きうるから困ってしまう。例えば...


◎スーパーが出ない!

 今でこそ、スーパーはコンピューターに直接入力していたが、
一昔前は紙に書いてそれを画面に映し出していた。
当時は、スーパーを作成するところと画面に送出する所は離れてるコトが多く、
二つの部署間を、伝達してスーパーが出るように準備するのがADの役目。
それぞれの部署はフロアが違うので、
あるAD君は禁断のエレベーターを使おうとした。
・・・ところがそのAD氏、エレベーターで見事に転倒!!
完成したテロップ原稿を全てエレベーターの隙間に落としてしまった!
もちろん、その日の放送でスーパーが出ることは無かった・・・

 

◎VTRに音がない!

基本的に、取材してきたVTRを編集するとき、
音楽もテロップも入れずに、取材した映像を繋ぐだけのVTRを最初に作る
(これを"シロ"という)。
これを元に、テロップをつけて、音楽をつけて完成させる。
(完成品を"完パケ"という)
企画ネタは、あらかじめ完パケで納品され、VTR納品をADがやる場合がある。
このVTR納品をミスったADがかつて存在してたらしく、
普通は完パケVTRが放送されるのが、シロが放送されてしまったらしい。

もちろん、放送された映像には、
音楽はなくテロップもない、なんともシンプルなVTRになったそうな。


納品ミスは、ナレーションとは違うVTRが流れたりなど、意外とよく起きる。
・・・そういえば、NHkは朝の連続ドラマで、
違う放送回のVTRを放送して問題になったっけ。
他にも、誤字・脱字なども頻繁にあり、毎日どこかで必ずミスは起きている。
ただ、これは意外に思うかも知れないが、
ADが犯したミスは、全てディレクターの責任になる。
よって、ディレクターは、その上のプロデューサーに注意を受ける羽目になる。

過酷なADという世界、頑張ればディレクターになれると信じてやっていかなければ、
この世界では生きて行けないのかも知れない。

(2002/07/16) (2002/09/21改)


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