食べられないおいしさ
Looks like delicious food is dangerous food.

 最近、食べ物の取材が多い。これを言うと、
「さぞかし美味しいものを、たらふく食べている」
・・・と思われがちだが、現実はそう甘くない。
確かに、最近よく「太ったね」とは言われるけど(涙)

 カメラを通して見たモノは、そもそも
主観が入らないので、肉眼で見た時よりシビアに見える。
 カッコイイと思ってた人が、写真で見ると案外そうでなかった...とか、
綺麗だと思って撮った景色が、実は大した事がなかったとか、
日常でもよくある話。

よって、食べ物を美味しく見せるためにちょっとした"細工"をする。
そこで必要なのは、水と油
いづれも食べ物のテカリを出すために使う。

まず料理撮影の現場では、
ライトを2つも3つも灯すので、温度が上がる。
すると、寿司などの生もの類はすぐに表面が乾くので、
でちょっと濡らしてやると、綺麗に光ってくれる。
 
は油モノの料理が冷めた時に塗ってやる
といい。
最近は、食用油スプレーなるモノまで出てきた。
...多分これは撮影用ではないのだろうけど。

アツアツ料理を美味しく見せる為には、湯気は必須
そのときには、皿の下に熱湯の入った小皿を置いて誤魔化すことも。
究極は、電子レンジで加熱して、強制的に湯気を出してしまう。

焼肉を焼くシーンも、
普段の焼き加減だと、焦げて見えるので、ほとんどレア状態。
焼肉につき物のビールは、
撮影直前に塩を入れるといい具合に泡立たせる事ができる。

 

確かに美味しくは見えるようになる...
が、こんなにいじくりまわした食べ物、
食べられるワケがない。
無論、撮影の終わった料理は廃棄されてしまう運命に。

幸いにも無傷であった料理のみ食べることになる。
それでもせっかくの料理も冷めてしまって
あまり美味しくない。

「食べ物取材はオイシイ」と思われがちだが、
空腹の状態でおいしい映像を見るだけで、
かつ、
その料理も食べられない。

生殺しの気分になる現場なのだ。

ああ...いつか必ず枕元に"もったいないお化け"
が現れるんだろうなぁ。

(2004/10/03)


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