これが私のメシのタネ |
泊まり勤務がある朝の番組に配属されてからというもの、
寝酒をするようになってしまった。
昼間に十分寝て夜勤に備えるためとはいえ、体に良いとはいえない。
一方で、泊まり勤務時間には眠気覚ましにやたらコーヒー飲むようになった。
これは今に始まったことではなく、学生のころからそうだ。
コーヒーと言えば、張り込み中の缶コーヒーは暖を取るため&眠気覚ましに最適。
AD「寒いッスねぇ。コーヒー、こんなんで良かったですか?」
ディレクター「BOSSしかなかったのかよ?ジョージアでないと飲めねぇよ」
カメラマン「微糖のコーヒーってなかったのかよ?」
と、こうやって同じ張り込み仲間との連携が深まったり(?)する。
そうして撮れた映像は大切な素材となって放送に至るわけだが、
この取材テープを警察に提出してしまったというトラブルが起きたそうだ。
事件の一報を受けて、放送前のテープを、
ましてや編集前のテープを提出したという事態に、
業界内では呆れた声が上がった。
"警察に提出する=犯人検挙のために協力"なら提出してもいい?
いやいや、それ以前にこれは"放送を前提とした取材"であって
"警察協力を前提とした取材"ではないというのがポイントになる。
以前、和歌山カレー事件のとき、
大阪の民放が逮捕前の林真須美被告にインタビュー取材をし放送した。
しかしいつの間にかこれが裁判の証拠として法廷に提出され、
関西の各放送局が反発したことがあった。
もし、取材した内容が裁判の証拠となったり、
警察に提出されることが当たり前のようになれば、
誰もメディアの取材は、例え顔を隠しても声を変えても
「何かあったら怖い」という理由で受けてくれなくなってしまう。
さらにその昔、TBSがオウム真理教に、
オウム問題に取り組む坂本弁護士に絡んだVTRを放送前に見せた。
それがきっかけで坂本弁護士一家は殺されてしまったといわれている。
これらを教訓にして、私たちは一貫して
"放送目的以外にテープを外に持ち出さない"
というルールを作ったわけだ。
放送前にその内容が外部に漏れることで及ぶトラブルは他にも考えられる。
他局にバレてしまって放送日に同じ内容が重なってしまうというのは想像にたやすいが、
これが経済番組に及ぶと事前に企業情報を手に入れることとなり、
不当に利益を得るインサイダー取引に発展する可能性だってある。
それだけメディアの力は大きく、
私たちはそういう情報を扱っている自覚が必要なのは言うまでもない。
そのほか、取材時における大原則で有名なのが取材源秘匿の原則がある。
何があっても情報源を積極的には公表しないというルールだ。
内部告発の取材は、取材相手を守らないといけない、
即ち情報源は秘密にしないといけないというワケだ。
ウォーターゲート事件がその一例といえる。
しかし、これらのルールを現場がすべて熟知していないと意味がない。
特に簡単な取材ならADも単独で現場に出るわけだし、
人手不足で若手が事件取材に出るような現場もあるわけだ。
アシスタントであっても自分が携わる世界について学ぶ必要があるのは言うまでもなく、
現場に出ればルールを知らないでは済まされない。
にもかかわらず、単に"ルールだから"という認識でしかない人も多いわけで。
意外と「なぜなんですか?」と訪ねても「そういうもんだから…」と言って
しっかり応えてくれる先輩は少ない。
…と、偉そうに語る私も自分も人のことは言えないの立場なのだが。
そうは言ってもこのトラブル。
下着泥棒を捕まえようと張り込み、犯人を取り押さえたにもかかわらず
放送中止になってしまったらしい。
一部ではヤラセかのような記述もあるが、
ヤラセに該当するような取材をしていたわけでもないようだし、
せっかく良いコトをしたのに報われないのも気の毒な話ではある。
まぁ、現場がルールを知らなかった故に起きたトラブルだから、
因果応報といえばそれまでだが。
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