視聴率よ お前は悪くない
A necessary evil.

 

 また一人の業界人が、金にモノを言わせてとんでもないことをしてくれた。
ご存じ、日本テレビプロデューサーによる、視聴率買収騒動である。いや、
そりゃ業界で仕事をしている人間は皆、視聴率に縛られてますよ。
自分の力で操作できるモンなら、ナンボでもやってやりたい...と思っていますよ。
でも、まさかホントにやってしまうとは。

 "人知の及ばない領域"とされていた(と言っても、ビデオリサーチ社が
ガードしていただけだが)
視聴率を操作したと言う点である。

ふざけるな!

0.1%の為にどれだけの理不尽と徹夜疲労と戦っていると思っているんだ。
正々堂々と試合をしているにも関わらず、知らない間に八百長試合に
巻き込まれた気分だ。

 もともと日本テレビは、視聴率獲得と言う意味では、ものすごくシビアな
会社なのは業界では有名な話である。ましてや、"日本一視聴率が取れるテレビ局"
と言われるようになってからの数字へのこだわりはハンパなモノでは無かったと思う。

 

 しかし、テレビ局の収入源が広告収入である以上、数字を追求しなければいけない。
そもそもテレビ広告(CM)は、"1本で***円"という数え方ではなく、
GRP
(Gross Rating Point)という単位がベースとなる。GRPとは、乱暴に言えば
"人が広告に接する割合"を示し、海外ではテレビだけでなくラジオや看板広告でも
この単位を使用しているそうだ。故に、発注も「じゃ、このCMは100GRPで流しましょう」
というカンジになる。

 もっと乱暴に言うと"何人が広告を見たか"という値だが、
視聴率が高い(たくさんの人が見ている)番組でCMを流せば、発注分のGRPは
すぐに消化できる。たくさん消化できれば、その分他のCMを流す余裕が出てくる。

たくさんCMを流せばたくさん儲かる...という図式になっているわけだ。

 

 故に現場では、
"高視聴率番組たくさんの人が見る番組評判のよい番組"
                               
という図式が出来る。

 

 正に、民主主義的な多数決解釈である。更に言うなら、見たくない番組は見なくて良い。
そうすれば、本当に必要とされない番組は淘汰されていくのだから。

 このように、テレビ番組を評価する尺度は、今のところ視聴率しかない。考えてみれば、
みんな見たい番組があるからテレビを見るのであって、作り手はみんなが見たい番組を
一生懸命作るのが仕事
だ。そして、そのテレビを見た人がどれくらいかを調べるシステムは、
それはそれで画期的なシステムだと思う。

 

 しかし、唯一の問題点が、視聴率調査会社が日本ではビデオリサーチ社しか無い点だ。
考えてみたらおかしな話で、ビデオリサーチ社のデータが絶対的な数字になっているのが
現状だ。...とはいえ、以前はニールセンと言う会社も視聴率調査を行っていたが、
ビデオリサーチ社に押されて日本から撤退してしまったという過去がある事をふまえると、
単純に複数の調査会社があれば良いという話では無いようだ。

 

 但し、数字が取れなくても必要な番組、大切な番組は存在する。それは、
本で言うなら必ずしもベストセラーだけが良書であると言えないのと同じである。
言うまでもなく、それらも必要な番組であることには間違いない。

 しかし、その原理を民間に求めるのは無茶だ。そのためにNHKが存在するのだから。

 

 視聴率は、番組評価での絶対評価ではない。しかし、客観的なデータである。
営業職の売上ノルマと同じ数字なのだ。そして、民間放送で働く我々のしごとは
"たくさんの人が見てくれる番組"を作ることである。

 

無論、ルールとモラルに則っての話だが。

(2003/11/22)


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