素人様々
How to appear on TV.

年度末は、番組改編のシーズン。よって人事異動がなされる。
ただでさえ忙しいのに、その倍、いや二乗は忙しくなる。
何が言いたいのかというと、原稿が遅れた言い訳がしたいのだ。
...遅れてごめんなさい。

今回の話は、ある密着ネタを手がけていた時の話。
密着ネタは、その文字通り取材先に密着する以上、プライベートの時間が確保しづらい。
相手の予定が優先だからだ。

密着する相手は一般の方であることが多く、余程でない限り、ギャラは出ない。
理由は、TVを見ている人からの
「ギャラもらったから、やったんちゃうん?」
という嫌疑を防ぐ為だ。
…そもそも昨今の緊縮財政下の元、そんな金はない。

では、協力者を捜す為にどうすればいいのか?
日々の付き合いの中から?雑誌や新聞の記事から?他局のネタから?
どれも正解。でも、もうひとつ方法がある。

 

■素人バンク■

世の中上手に出来ているもので、「素人バンク」なるものが存在する。
ほとんどがリサーチ会社の子会社で、
アルバイト情報誌上での「エキストラ募集」で集まった人から、
番組観覧希望で放送局に登録された人が約数万人ほど登録されている。
このような会社は、都内だけでも数十社あると言われており、会社毎にも特徴がある。
(因みに、ウチの番組が当時使っていたのは、インフォプラントという会社)

このような素人バンクは、多くの番組で頻繁に利用されており、
エキストラの仕込みや、スタジオ観覧者の仕込み、取材協力者捜し(今回はコレになる)、
情報提供者捜しを手がけてもらったりするのだ。

中には、局側の発注に応じて該当者をリストアップし、
オーディションまでセッティングしてくれる企業もある。
例えば、"我が子の運動会をビデオ撮影する家族"というオーダーなら
その会社に登録されている、家族の中からピックアップされる訳だ。

 

■ヤラセ番組を増長中?■

今や素人参加番組全盛時代。
“テレビ的な”素人獲得の為に、素人バンクを活用する番組が増えている。
中には、劇団やタレント事務所に発注する番組も出てくる。

例えば、2003年の“笑っていいとも”。
一般の子供が登場するコーナーで、出てきた子供が
「**プロの%%です」
と自己紹介してしまったハプニングは記憶に新しい。
このように様々な番組からの発注が増えると、"素人の奪い合い"という事も起きる。
(実際、自らを汚ギャルと称する女子高生をウチの番組で仕込んだが、
 他番組の同じネタにも出ていたことが発覚。ディレクター大慌て…という事があった)
他にも、"あるある会員"として出演していた人が、
別番組の再現ドラマに出演していた..という可能性も十分ありうる。
すると、何も知らない視聴者にしてみれば、
「一般人じゃなかったんかいな?これヤラセなんとちゃうん?」
と見えてしまうワケで。

 

■とはいえ、緊縮財政中■

無論、素人バンクにも費用がかかる。
情報提供だけでも3万円前後のコストがかかるので、
これが"人を仕込む"となればもっとかかる。
ノーギャラとは言えども、交通費や食事代の手配は最低限しなければならない。
そこで注目されるのが、
フジテレビクラブなどに代表される"TV局のファンクラブ"。
近年、フジテレビだけでなく各局こぞって設立させており、
考えようによっては、これも素人バンクのひとつである。
しかも、利用料はタダ!エキストラを仕込むぐらいならこれで十分だ。

テレビに出たい人は、素人バンクに登録するより、
ファンクラブを利用した方が確実かも知れない。
ちなみに、基本的に素人さんには絶対出席の義務はないため、
大雨の日などには出席率が著しく低下する。
天候の事情ならまだしも、いきなりドタキャンされることもしばしば。
とは言え、スタッフは素人さんに文句は言えない。

その点、業者に頼めばビジネスとして手配してくれるので出席率が高くなる。
が、やはりコストは高い。
他にも、「服装は地味めでお願いします」なんて言おうものなら、
「それってヤラセじゃないですか?」と、言い返されることも。

そんな方々をなだめて、納得いただくのもADのお仕事。
 …だから、お願いだから出演協力の機会があったらドタキャンなんてしないでね。

(2002/10/13),(2007.05.27改)


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