数字を取る会話
The another world.

 一時期、やたら業界用語が流行した時期があった。
業界用語と言っても何のことはない、単語を逆さまにしてアレンジするだけだ。
"ごはん"→"シーメー"
"コピー"→"ピーコー"
など、これらは実際に現場で使われている。

ちなみに、もともとはこれらの言葉は、音楽業界が最初だとか。
よって、タレントとあまり絡まない、報道・ドキュメントの制作現場では、
こういう言葉は、あまり聞かない。
一昔前だと、単純に
"業界用語を連発している人"="業界人"
という方程式が成り立ったわけだが、
ブームが去ってしまった今、外でこんな言葉を連発するのは、
単なるミーハーか、モテないナンパ師にしか過ぎない。(言い過ぎ?)

閑話休題。
単語としての業界用語は別として、TV界で交わされる会話も、
番組ジャンルや、担当部署によってかなりの違いがある。
下手すると、価値観こそ違うかも知れない。
例えば・・・


◎外信・外報・国際部(局によって呼び名が違う)の場合

海外ニュースを扱うセクションである。
なぜかココだけが、周りとは違った空気を放っている。
電話のやりとりが殆ど英語なのだ。
毎回どこに電話しているのかと、不思議に思う。
また、外国の資料なので、文面が英語で書かれているわけだが、
日本語のように婉曲な表現がないので、たまにドキッとさせられる。

例えば、クリントン元米大統領の不倫スキャンダル事件の時。
日本語だといくらでもオブラートに包める単語があるが、
海外通信社の資料には、あちこちに"SEX"という文字が踊っていたそうだ。

◎社会部の場合

 政治経済ネタでもなく、海外ネタでもないニュースを全て担当する。
要するに、事件・事故はここで扱う。だが、ここでは
"被害者が死んだか否か"が大きなキーワードになる。・・・物騒なセクションだ。

A:「大変です!××の方で通り魔事件があったそうです!」
B:「何!? 被害状況は?」
A:「救急車で搬送されましたが、全治三ヶ月だそうです。」
A:「なんだ。せめて意識不明ぐらいにならよかったのに。」

 ちなみに、ワイドショーの部署になるとこの傾向は顕著に見られる。
念のためフォローしておくが、

"殺人"="事件性高い"="注目度も高い"="ニュース性が高い"

という図式から来る発言である。
「視聴率を取るため」という発想が根底にあるのは言うまでもない。

◎PD(演出統括)の場合

 放送(O.A)中に一番ピリピリしている方たちである。
まぁ往々にして予定表どおり番組が進行することはない
(別に、腕が悪い訳ではない)ので仕方がないのだが。
 その中でも、最高潮に緊迫するのが、
放送中にニュースが飛び込んでくる場合それも、重大ニュースの場合である。
すぐに放送しないといけないので、
今やっているニュースをすぐに終わらせなければならない。
即ち、
今流れているVTRを、途中で中断するワケなのだが・・・

PD:「よし!飛び降りるぞ!
   このV(VTRのこと)どこで飛び降りれる?」

簡単に言うと、VTRからスタジオに戻るので、
VTRのどこで終了させれば不自然じゃなくなるか、という会話なだけなのだ。
最近では、河野洋平
が入院したときに、こういうことがあった。
 他局よりも一秒でも早く伝えるためとは言え、
初めて聞いたときには、「この人、何すんねん!」って本気に思ったっけ(笑)

このように、"逆さ言葉の業界用語"は別として、
一般人が聞いたら、耳を疑うような言葉が飛び交っている現場である。
おそらく、ドラマ制作現場や、バラエティの現場でも、
同じように
特殊な会話が飛び交っているだろう。

・・・機会があったら、業界用語解説コーナーでもしてみようかな。

(2002/06/23)


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